Categories: コラム

「サンクコスト効果(コンコルドの誤謬)」

いきなりだが、皆さんはこのようなケースの場合、その後どのような動き方をするだろうか?

毎日忙しい中、何とか時間を作り、今話題になっている映画を観に来た。

お財布事情も厳しいのだけれども、2000円でチケットを購入し、映画館に足を踏み入れた。

全くその映画の予備知識はないのだが、世間で評判になっていることと、タイトルの感じで自分が好きなタイプの映画ではないだろうかと、ワクワク感で胸が躍る。

さあ映画が開始。

10分経過。

「ん? 何か思っていたのとは違う?」

「いやいや。評判の映画だ。これから面白くなるはず」

30分経過。

「やっぱり思っていたのと違うし、あんまり面白いとは思えないな。でも・・・」

さてどうだろう? 皆さんならその後どんな動きをするだろうか?

ちなみに私なら、

「まだこれから違う展開になり、面白くなるかもしれない。せっかく忙しい中、時間を作ったし、ギリギリのお小遣いをはたいたんだから最後まで観る!」

となるだろう。

広告

この心理状態を【サンクコスト効果】という。

「サンクコスト」とは日本語で「埋没費用」や「過去コスト」と呼ばれ、「将来的に回収できる見込みのないコスト」の意味である。

同じ意味で【コンコルドの誤謬(ごびゅう)】とも呼ばれる。

これは実際に「超音速旅客機コンコルド」の投資に起きたところからきている。

コンコルドはマッハ2を超す画期的な開発であったわけだが、乗客定員数の少なさや燃費の悪さの問題から採算がとれないことが開発途中で判明。 しかしそれまでに巨額の費用を費やしたことを惜しみ、開発が中止できなかった。

結果、その時勢の影響もあり、膨大な損失を出して倒産する結果となった。

つまりすでに使った費用やコストに対し、

「もったいない」 という心理が働き、

【合理的な判断ができなくなる状態】

のことで1種の認知バイアスと言える。

もし映画を途中で切り上げていたとしたら?

その余った約1~2時間で何かができたはず。

・途中で切り上げた仕事の続きができたかもしれない。

・家族や友人と何か将来につながる大切で充実した時間を過ごせたかもしれない。

我々の日常生活の中では、いくつもの認知バイアスが発生している。

今回もこのようなバイアスが発生しているということを知識として持っていてほしい。

特に「サンクコスト効果」はいろんなパターンで身近に発生している。

目の前のことだけを見て、それをできるだけ最小限の「損失」にとどめることができなければ、その先「もっと大きな損失」になりかねない。

賢明な判断をすることで、「一時的な損失」がプラスに転じる可能性も充分にある。

時間はお金に変えられない

過ぎた時間は戻ってこない。

目の前の事象に直面した時に、

「果たしてこの時間は自分にとってどれほどの価値があることなのか?」

と自問自答し、冷静に考える思考をもってほしい。

また経験を重ねることで、合理的な判断ができるよう精度を高めてほしい。

あくまでポジティブに。

cooldown2021

Recent Posts

「バニスター効果」って?

     広告 皆は、「バニス…

6日 ago

「終わり」を意識することの重要性

広告 何かを始める時に、人は大…

2か月 ago

同調圧力からの回避

    広告 学校での会議、職…

4か月 ago

「クーエの暗示法」〜どうせ考えるならポジティブに〜

  広告 あるフランスの町での…

4か月 ago

毎朝、通学中や通勤中で走っている人を見かける理由

広告 私は毎朝同じ時間に、私服…

5か月 ago

追うべきものが「結果」ではない理由

  広告 イソップ童話「ウサギ…

5か月 ago