あなたを含め、あなたの身の回りに、極端に自己評価が高い人はいないだろうか?
それは「単に評価が高い人」ではなく、「たいして実力もないのに自信がある人」である。「根拠の無い自信が強い人」とも言えるだろう。
このように、他者評価はすこぶる低いのにも関わらず、自身を過大に評価してしまう状態を「ダニング・クルーガー効果」と言う。
これは1999年、心理学である「デヴィット・ダニング」と「ジャスティン・クルーガー」によって提唱された、一種の「認知バイアス」である。
仕事でも趣味でも、新しい知識を得たり、最初にたまたまうまくいった場合に、この認知バイアスは発生しやすい。
まだ何かをやり始めたばかりの時点で、
「俺ってスゴイじゃん!」
「こんなの余裕、余裕」
と思ってしまう時がある。
しかしこれは紛れもない「錯覚」であり、「過大評価」に他ならない。
なぜなら、やはり物事の真の実力とは、何度も失敗して、継続しつつ、壁を乗り越えたからこそ獲得できるものだと思っているからだ。
物事の最初というのは、いわゆる「さわりの部分」であり、当然「全体」ではない。
よって、全体に対して
自信がある状態というのはおかしいわけである。
このダニングクルーガーは次のように段階的に表せる。
①思いこみの段階
②思いこみだったと知る段階
③真の自信を持ち始める段階
④更に学びを深め、正しい評価が行える段階
このように認知バイアスが外れていけば、過大評価ではなく、正しい自己評価となっていけるのだが、そうでなければ、いろんな支障が出てしまうことになる。
例えば、
①「責任転嫁」の問題
自分は高評価なわけだから、何か問題が発生しても、それは自分ではなく「他者のせいだ」と思ってしまう。
②「コミュニケーション」の問題
こうなると、当然コミュニケーションもうまく図れなくなっていく。
③「間違った評価」の問題
自分を正当に評価できる目がないということは、他者に対しても同様である。そこから軋轢も生じる。
④「成長ができない」問題
今で充分高い評価となると、「もっと頑張ろう」というモチベーションが上がらず、成長がストップしてしまう。
⑤「騙されやすくなる」問題
正当な評価ができていないわけだから、善悪は真偽の判断ができなくなる。
⑥「壁を乗り越えられない」問題
何か問題が起きたとして、挑戦するも、実際の実力のギャップから、極端なじこ否定に陥る可能性がある。
広告どうだろう?
「こんなに問題があるの?」
「確かに近くにいるわ、こんな人」
「これ、私かも?」と思った人多いのでは?
では、この認知バイアスに陥りやすい人とは、どんな人なのだろう?
それは、
①人の助言を受け入れない人
②他責思考の人
③問題が発生しても原因を追求しない人
そして、ダニングクルーガー効果に陥らないためには、
①自分を客観的に見る
自分を別の高い次元から見る、いわゆる「メタ認知」の状態を作り出す。
②数値化する
ダニング・クルーガー効果に陥っている人は、いわゆる「根拠の無い自信」を軸に動いている。それを「根拠のある状態」にしていくわけである。
③問題発生時は原因を探る
真の原因は「自分なのか?」「他人なのか?」「双方なのか?」これを掘り下げていく。
④人の意見に耳を傾ける
上記①にもつながるが、やはり人の意見を一旦聞き入れることが、「自分を客観的に見る」ことにつながる。
ここで言っておくが、ダニング・クルーガー効果が100%デメリットとは言い切れない。
なぜなら、自信がない人や、失敗を恐れて行動できないより、「根拠の無い自信」で自分を奮い立たせば、何かに挑戦するモチベーションになるからだ。
今の自分の性格に合わせて、あえて「認知バイアス」を利用するなら、それも有なのかもしれない。
要は「バランス」。
他者の意見に耳を傾けること。
そして自身の「メタ認知能力」を鍛えること。
それらを利用したり身につけることで、自身の今の状態を把握したり、正当な評価を得ることができるはずだ。
真の自分を知ろう。
あくまでポジティブに。