
私は毎朝同じ時間に、私服やスーツ姿で走っている人とすれ違う。
その人は、表情に全く余裕がなく、必死の形相である。
おそらくいつも遅刻しかけ、いつもギリギリの状態なのだろう。
であれば、もう5分でも早めに自宅を出発する。もしくは、もう5分早く起きればいいのではないか?
私としてはそう思ってしまうのだが、「そんな簡単にできたら誰も苦労しない」と文句が返ってきそうである。
ではなぜ、毎日ギリギリになるのか?
その理由として2つ述べてみたい。
①結局、毎日何とかなっているから
学校でも職場でも「定時」というものは必ず存在しているが、それに間に合いさえすれば当然「遅刻」とはならない。
そう、たとえ自宅出発が出遅れても、”走れば間に合ってしまう”ことが「悪しき習慣」となっているわけだ。
これは、「少しでも早く起きること」と「全速力で走るしんどさ」とを比較した時に、「早く起きるのはしんどい」と無意識に走る方を選択してしまっている状態とも言える。
②何とか間に合うことで、脳にドーパミン分泌されるから
人の脳は、目標や欲求を満たした時に、「ドーパミン」という神経伝達物質が分泌される。これが分泌されると、人は「幸福感、元気、意欲、快楽」を感じることになる。何度もこの感覚を味わうから、また次も同じことをやってしまうのである。
では、どうしたら改善できるのか?それは、
①これらの成功体験を失敗体験にしてしまう
「間に合ってしまう」という成功を、自ら「間に合わなかった」とあえて失敗にもっていき、とんでもなく痛い目にあう。
つまり自力ではどうにもならない状態を、人から指摘されたり注意されることで「危機的な状況である」「迷惑をかけている」と自覚するということだ。
「うまくいったからまた次もやってしまう」という連鎖を早い段階で断ち切るわけである。
これは「万引き」や「盗撮行為」といった犯罪にも言えるのかもしれない。
②もっと他の方法で幸福感や意欲を高める
「全速力で走ったから間にあった」ではなく、「朝早起きして、早めに家を出発したから間にあった」にしていく。
さらに、早めに家を出て間にあった時は、自分自身で何かポイントのようなものをためておき、「10ポイントたまったらおいしいスイーツを買う」という方法でも良いだろう。
また、誰か仲の良い人に、「早く自宅を出たから間に合ったんだね。すごいね」と誉めてもらうようにお願いしておくという方法もある。
つまり、正しい行動の方に、より魅力的な報酬を用意しておき、もっと強烈なドーパミンを分泌させていくということだ。
これを継続していけば、良い習慣へ変化していく可能性が高まる。

小さな成功体験を積み重ねていくこと。
それに達成感や充実感を感じていくこと。
これは【諸刃の剣】とも言える。
「良い習慣」に適用できるが、一方では「悪い習慣」にも適用できてしまうからだ。
もし悪しき習慣に陥った時、「自制すること」や「自力で何とかしようとすること」も大事。
しかし、自力ではどうにもならない時は、身近な人の手を借りることも考えてみよう。
皆、意外に同じようなことで悩んでいたりするものだ。
「良い習慣」を味方につけていこう。
あくまでポジティブに。