人は一旦相手に嫌悪感を抱くと、とことん嫌いになってしまう。
一方、人は一旦相手に好意を抱くと、とことん好きになってしまう。
こんなふうに、皆にも思い当たる経験はないだろうか?
ここで別の角度からも述べてみたい。
例えばビジネスの場面において、名刺の肩書(役職名)、履歴書に記載されている学歴や職種等を最初に知るとする。
そして、その時の第一印象が良かったとしよう。
その後何度もやりとりしていく中で、その相手はミスをしたり、ちょっと対応が悪かったりしていることがある。
しかし、一旦その相手に良い印象を抱いているので、相手の良い部分を無意識に拾ってしまい、「ああ、やっぱりこの人はすごい人なんだ」と、もっと強い思いに発展していく。
一方、その逆で、最初の相手の印象が悪かったとして、それが割と強烈なものだったとしよう。
その後何度もその相手とやりとりしていく中で、いくらその相手がクレバーな部分や愛想が良かったりしたとしても、
無意識に相手の悪い部分しか拾わず、「ああ、やっぱりこのひと嫌だわ」と、より一層相手に対しての嫌悪感が増してしまう。
つまり、これらは個人の先入観「良い悪い」が先にあって、
その考えに沿った情報を、相手との接点の中で、自分の都合の良い情報ばかり無意識に拾ってしまっているのである。
これは心理学的に、数ある認知バイアスの中の「確証バイアス」と呼ばれるもの。「思考の偏り」であり、思考のクセである。
人間の脳は「省エネ」で動こうとする。一部の情報だけで全体像を判断しようとしてしまう。
普段からこのような「確証バイアス」に陥っている人は、自身で意識してその「思考の偏り」を改善しなければずっとそのままなのである。
ここで注意しておきたいのだが、一部ではなく限りなく全部に近い、つまり「長い付き合いの中である程度の部分を見れた段階」で、
それでも「好きだ、嫌いだ」となった場合は、それは本当に「フィーリングが合う」とか、「生理的に無理」ということになる。
好きな場合は自然にしていれば良いし、嫌いな場合は、無理をして接点を持とうをする努力は不必要だと、私は思っている。
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また、特筆すべきことがひとつ。それは「好きでも嫌いでもない、グレーな存在」のことだ。
これは、安易に一部だけを見て、その人の全てを決めつけようとしてしまう「思考の偏り」を持つ人に有効なのかもしれない。
つまり「好きと嫌いの中間(ワンクッション)を持つことで、比較的安定した関係性を保つ」ということである。
間のゾーンを設定することで、「果たしてこの人のことを好きなのか嫌いなのか?」「相性の良い人なのかそうでないのか?」と冷静に見極める余裕も生まれる。
相性が良ければ、その後もう少し距離を縮めて良いかもしれないし、
相性が悪ければ、そのグレーな状態をキープする、もしくは回避していくのでも良いだろう。
以上「確証バイアス」「思考の偏り」について述べてきたが、実はこれらのバイアスを逆手に取るという方法もある。
つまり「第一印象を良くするように努力する」ということ。
相手に不快感を与えない「身だしなみ、言動、心遣い」等、できることはいくらでもある。
一旦相手に強烈に良い印象を抱いてもらえたら、それは少々のことでは覆らないということだ。
「確証バイアスに陥っていれば修正を」
「第一印象を良くするように努力する」
あくまでポジティブに。