
皆は、「バニスター効果」という現象を聞いたことはあるだろうか?
この「バニスター」というのは、イギリスの陸上選手である「ロジャー・バニスター」が由来である。
1923年に1マイルの世界記録保持者が記録したのが「4分10秒3」。
その後、その記録を打ち破る選手は現れず、その時代、
「4分を超えることは不可能だ」
「4分が人間の限界だ」
との風潮になり、長年の定説と化してしまっていた。
そこでロジャー・バニスター。彼が、その記録を破ることに果敢に挑戦し始めた。
医学部の大学生でもあるバニスターは過酷で厳しい練習を自分に課したのだ。
当然、世間は「そんなものができるわけがない」と批判した。
しかし、1954年5月6日、ついについにバニスターは、人類史上初「3分59秒4」という世界記録を更新したのだった。
これで「めでたし。めでたし」となるはずが、実はそうではない。この話の肝となる部分はここからなのだ。
この人類史上初の世界記録。
その後、一体いつ更新されたのか?
いわゆる「4分の壁」を突破するのに、30年はかかったという前提のもと、皆はどう予想するだろうか?
正解は・・・
【46日後】
約30年間、ずっと無理だと言われていた「4分の壁」を突破したと思ったら、わずか2ヶ月も経過しないうちに、新記録が出たのである。
これがいわゆる【バニスター効果】。
つまりだ。
「そんなことできるわけがない」
「到底無理だ」
という「思いこみ(バイアス)」で限界を決めていたのが、ひとりの「あきらめない人間」が果敢に挑戦したことで、正の連鎖、ポジティブな連鎖が発生したということなのだ。

また、このバニスター効果は、「あの人に出来たなら、自分にも出来るはず」という思考とも言える。
逆に「自分にも出来たんだ。君もきっと出来るよ」という言い方もできる。
しかしこれでは、少し「上から目線」に聞こえてしまうかもしれない。
ならば、「同じ人間なんだ。きっと自分にもできるはずだ」と置き換えてみればどうだろう。
これなら違和感なく聞こえないだろうか?
こうやってお互い良い刺激を受けながら、限界を打ち破っていく。
もちろんこの現象は、決してスポーツの分野だけではなく、医療や開発など、この世の中のあらゆる分野に適応できるはず。
そして、限界を打ち破ったあかつきには、
「よくやったよね」
「頑張ったよね」
「すごいよね」
と、一旦は相手をリスペクトすることを忘れてはいけない。それがまた良好な人間関係にもつながっていく。
自分の成長のためにも、そんな現象を身近に起こしてみては?
あくまでポジティブに。